すでに酒販免許をお持ちの方へ

すでに酒販免許をお持ちの場合も、酒販事業を継続するうえで必要な手続きや留意点があります。これらは忘れてしまうと違反行為に該当したり、税務署から指導を受けることになりますのでご注意ください。主な変更手続きを以下に説明いたしますが、キーワードは「〇〇が変わるときは要注意!」です。

主な変更手続きを一覧表にしましたので、その中から1.~8.についてポイントを説明いたします。

酒販免許取得後の主な変更手続き一覧表

<内容><手続き内容><期限>
1.現在、指定されている酒類の品目以外の酒類を売りたい場合条件緩和手続き新たな品目を販売したい2ヶ月前
2.現在、指定されている販売方法以外の方法で酒類を売りたい場合条件緩和手続き新たな方法で販売したい2ヶ月前
3.販売場を他の場所へ移転する場合移転許可申請移転日の2ヶ月前に申請
4.酒販事業を法人⇔個人へ変更する法人成り(個人成り)手続き変更希望日の2ヶ月前に申請
5.法人の役員が変わった場合異動申告直ちに
6.販売場の指定範囲を変更したい場合異動申告書遅滞なく
7.住所または所在地が変更になった場合異動申告直ちに
8.法人の名称を変更した場合異動申告直ちに
9.販売場の名称が変わった場合見出し異動申告直ちに
10.販売場所在地の町名等が変わった場合異動申告直ちに
11.酒類販売業を休止・再開する場合休止・開始異動申告遅滞なく
12.酒類販売業を廃止する場合取り消し申請書
13.相続した場合相続申告書遅滞なく
14.酒類販売管理者が変更した(する)場合酒類販売管理者専任(解任)届出書

1.現在、指定されている酒類の品目以外の酒類を売りたい場合(条件緩和手続き)

酒販免許は免許区分によって、販売できる酒類の品目があらかじめ指定されていることがあります。品目とは「清酒、ビール、果実酒、ウイスキー」といったように酒税法上定められている区分のことです。

画像の説明

例えば、一般酒類小売業免許は取得すれば国産・輸入問わず、全酒類(全ての品目)の小売が可能ですが、通信販売酒類小売業免許の場合は次のように販売可能な品目が指定されます。

  • 通信販売による小売りする場合については、輸入酒類に限る
  • 通信販売による小売りする場合は次によること。「カタログ等(インターネット等によるものを含む。)の発行年月日の属する会計年度(4月1日から翌年の3月31日までの期間をいう。)の前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が、すべて3,000キロリットル未満である酒類製造業者が製造、販売する清酒に限る。」

このようにあらかじめ指定されている販売可能な酒類の範囲(輸入酒に限る等)や酒類の品目の他に、新たな品目を販売したい場合、対象品目を追加する必要があります。(条件緩和手続きといいます。)この場合、品目に応じて仕入先からの取引承諾書や3,000kl証明書が必要となります。

2.現在、指定されている販売方法以外の方法で酒類を売りたい場合(条件緩和手続き)

酒販免許は免許制度である以上、売り方によって必要な免許区分が異なります。例えば、店舗を構えてお酒を消費者へ対面販売する場合は一般酒類小売業免許が必要ですが、インターネット販売をしたいときは通信販売酒類小売業免許が別途必要です。

また、今までは一般消費者や飲食店へ小売していた場合は一般酒類小売業免許でできましたが、酒販店に対して卸売をしたい場合は卸売免許(細かい区分は割愛します。)が必要です。

このように現在保有している免許区分で可能な販売方法以外の販売方法を新たに行いたい場合、新しい販売方法に必要な免許区分を追加取得する必要があります。(条件緩和手続きといいます。)

特に新たに取得する免許区分によって必要事項が異なりますので注意が必要です。

  • 店頭または業務用小売をしたい場合
    この場合、一般酒類小売業免許が必要ですが、具体的な仕入先名を申請書へ記載する必要がありますので、当事者間で取引予定であることの合意が必要です。(別途の合意書等は不要。)
  • 通信販売で国産酒を販売したい場合
    この場合は販売予定の酒類の製造者から3,000kl証明書という書類を入手する必要があります。(詳しくは通信販売免許のページをご参照ください。)
  • 卸売(洋酒・輸入・輸出・自己商標など)免許
    卸売免許を追加する場合の特徴としては、仕入先(製造者または他卸業者)および卸先酒販店の両方からの取引承諾書が必要になることです。この取引承諾書は決まった書式はありませんが、相手方代表者の捺印が必要です。

3.販売場を他へ移転する場合(移転許可申請)

酒販免許取得後に特に気をつけていただきたい手続きの1つに販売場(酒販免許の取得場所)を移転する場合があります。

画像の説明

酒販免許制度では販売場を移転する場合、事後手続きではなく、事前手続きが必要です。しかもやっかいなのは移転予定日から起算して2ヶ月前には移転許可申請を税務署へ提出する必要がある点です。

私たち個人が自宅を引っ越すときは事後に役所へ転出・転入届をだしますが、酒販免許の場合はこの感覚とは大きく異なるため注意が必要です。もし、事後手続きでいいと思い込んで移転してしまい、移転先でお酒の販売をしてしまった場合は酒販免許を保有していたとしても無免許販売となり、罰則の対象になります。

とはいえ、移転予定日の2ヶ月前に移転許可申請が必要というのも、民間の考え方としては甚だ疑問です。というのも、移転する場合、移転計画があったとしてもよい物件が見つからないと移転しないですが、候補物件は急きょ見つかることもあります。その場合、物件が見つかってから1ヶ月以内に移転することも十分考えられます。そうなると酒販免許の移転手続きに要する2ヶ月よりも移転準備期間が短くなってしまいます。場合によっては新旧両方の事務所に賃料を払いながら、酒販免許の移転手続きが完了するのを待つこともできますが、二重に賃料を払うことになり負担が増えます。

ビジネスにはスピード感は重要ですが、酒販免許業者が移転を考えるときはくれぐれもご注意のうえ、計画を立ててくたさい。

4.酒販事業を法人⇔個人へ変更する(法人・個人成り手続き)

事業を行っていると、個人事業を法人化する(法人成り)、法人で行っていた事業を個人事業化する(個人成り)することがあります。酒販ビジネスでも同様のことがあり得ますが、その場合は免許の名義を変更する必要があります。

名義を変更と書きましたが、実務上は個人免許から法人免許、法人免許から個人免許といったように事業主体の変化に伴って新たに免許を取得する形になります。したがって、審査期間も通常の新規申請同様に税務署へ申請してから2ヶ月を要しますし、必要書類も新規申請とほぼ同じです。しかし、酒販免許の名義が法人⇔個人と変わるからには各種契約書(賃貸借契約書、FC契約書、取引先との承諾書等)も書き換えて再取得する必要がありますので、その点はご注意ください。

とはいえ、一度は法人または個人で酒販免許を取得して酒類販売をしているため、全くの新規申請よりは税務署も実績を考慮してくれて対応も緩やかになる傾向にありますので、一度は免許業者であったということは大きなアドバンテージといえます。

なお、法人成りまたは個人成りの場合は、不要となる元の免許は取り消すことになります。

5.法人の役員が変わった場合(異動申告)

法人の登記上の役員が変更した場合、変更後の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を添付して税務署へ異動申告書の届出が必要です。

6.販売場の指定範囲を変更したい場合(異動申告書)

現在、酒販免許を付与してもらっている販売場の指定範囲を変更する場合に必要な届出です。具体的には、同じ建物内(=同じ地番上)で販売場の範囲を拡張または縮小、移動する場合が該当します。

例えば、

  • 同じ小売店舗内で販売場として指定されているスペースを拡張または縮小する場合
  • 同じ建物内で1階の販売場を2階へ移動する場合
  • 同じ建物内で101号室の販売場を同じ階の102号室へ移動する場合

が挙げられます。

ご注意いただきたいのは前述の3.の移転許可申請の場合は、販売場が他の建物へ移動する(地番が変更になる)のに対して、販売場の指定範囲の変更における移動申告では地番の変更を伴わない範囲での販売場の移動や指定範囲の拡大縮小であることです。

7.住所または所在地が変更になった場合(異動申告)

ここでいう住所または所在地とは、住所は免許取得者が個人の場合の自宅住所、所在地とは免許取得者が法人の場合の本店所在地のことを指します。ご注意いただきたいのは表現上は「住所(所在地)変更」だとしても、3.の移転許可申請はあくまでも酒販免許を取得している販売場が移転する場合であることです。

つまり、酒販免許制度上は免許を取得する主体(個人または法人)と、免許を取得する場所(お酒を販売する販売場)は必ずしも同一である必要はないため、それぞれの住所が変更する場合に必要となる手続きが異なることに注意が必要です。

8.法人の名称を変更した場合(異動申告)

法人の名称が変更になった場合、変更後の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を添付して税務署へ届出が必要です。


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