飲食店でお酒の小売をしたいと思ったら絶対知っておくべき3つのこと

飲食店を経営しているとお客様から「店長、このお酒気に入ったから持ち帰り用にボトルで売ってよ!」と言われたことはないでしょうか?この話を飲食店オーナーへすると、「ある、ある!」とおっしゃる方が8割を超えます。しかし、それをやってしまうと違反行為になるのはご存知ですか?

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1.キーワードは「分ける」

酒販免許の制度上、飲食店内での酒類の小売は原則禁止されています。理由は、飲食店でメニューの一環として利用者へ提供する酒類と、酒販店として小売する酒類では目的が異なるためです。飲食店オーナーであれば、飲食店は酒販店からお酒を仕入れて利用者へ提供していることはご存知ですし、酒販店がメーカーや酒類卸業者からお酒を仕入れていることもご存知かと思います。

つまり、飲食店でお酒を提供するのと、酒販店でお酒を小売するのでは仕入ルートが異なりますし、仕入ルートが異なれば仕入価格も異なります。

酒販免許を管轄する税務署(国税庁)はお酒の流通が適正に行われるように流通経路、お酒の販売場所の区分、価格、在庫管理、売上管理を明確に分けて考えています。

しかし、例外的に飲食店内における酒類の小売を認める場合があります。

身近な例としてはホテルや旅館のロビーにあるお土産売場がわかりやすいと思います。

皆さんも旅行にいって旅館やホテルを利用した際に1階ロビーにお土産売場があってそこで地元のお酒が売られているのを利用したり見たことはありますよね?そして、そのお土産売り場は専用のレジが店内にあって、スペースもロビーと仕切りなどで分けられていて、かつ、営業時間も限定されています。夜になるとシャッターが閉められて、棚に布がかけられたりして閉店していますよね。

ここでは細かい説明は割愛しますが、飲食店も旅館(ホテル)業も接客業者という同じ括りになるため、旅館(ホテル)業の例がわかりやすいと思います。

この考え方が飲食店内で酒類を小売するために酒販免許を取得する場合も適用されます。

2.分けなければいけない事項とは?

では、具体的に何をどのように分ける必要があるのでしょうか?以下に説明します。

(1)酒類の販売場のスペースを確保

具体的には「飲食店の客席部分と明確に区分されたスペースが必要」です。明確に区分されたというのは、例えば飲食店内に簡易な棚を設置したり、小売用の酒類を保管する冷蔵庫を置くだけでは認められません。

物理的、かつ容易に移動することができない間仕切り等で客席部分と区分けをして、酒類販売のための独立したスペースを確保する必要があります。(面積が〇㎡以上必要という面積要件はありません。)

実際に弊所で対応した事案を例に見てみましょう。

●ケースA「既存飲食店で酒販免許を取得するパターン」

既存の飲食店が客席の一部を工事して、間仕切りを設置。区分けした中のスペースを酒類の販売場として酒販免許を申請、取得したパターンです。既存店のため、店内のレイアウトや構造上、どうしても大小の工事の必要性が出てくることがあります。この事案では工事をしましたが、工事をしなくても客席と明確に分けられる区画があれば、そこを活用、転用することで酒販免許の申請~取得が可能になることもあります。飲食店内での酒販免許取得の可否の判断は個別具体的となりますので、ご不明な場合はお問い合わせください。

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●ケースB「新規開店の飲食店で酒販免許を取得するパターン」

新規開店をする飲食店で酒販免許を取得する場合は、あらかじめ入念な打ち合わせを税務署の酒類指導官部門、設計事務所、保健所(飲食店営業許可の関係)を巻き込んで進めていく必要があります。新規開店の場合は、プラン作成の段階からレイアウトを設計できることで自由度は高いですが、万が一、工事完了後に「このレイアウトでは酒販免許は取れないですよ。」と税務署から言われてしまうととんでもないことになります。したがって、自由度が高い新規開店だからこそ、酒販免許の取得を飲食店開店時から希望する場合は、税務署には設計事務所が作ってくれたプラン(図面)を事前に持参して、しっかりと説明をして「このレイアウトなら物理的な要件は大丈夫そうですね。」という内諾を必ず得た上で工事を進めてください。飲食店内での酒販免許取得の事案を数多く対応している弊所でも、この点は非常に神経を使うところです。十分ご注意ください。

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客席スペースとは別に、壁際にウォークインタイプのワインセラーを設置。この中を小売用の酒類販売場としたパターンです。

(2)酒類の仕入先

飲食店で提供する酒類は酒販店(ときにはメーカーから直接仕入れ)から仕入れます。でも、飲食店内で酒販免許を取得すると、飲食店内に酒販店が併設されることになり、その酒販店で小売する酒類は酒類卸業者かメーカーから仕入れる必要が出てきます。酒販免許の制度上、酒販店同士は取引ができないためです。

よって、飲食店として日頃から取引をしている帳合(取引先)の酒販店とは別に、酒類の卸業者かメーカーとのルートが必要になります。なお、例外的に日頃から取引をしている酒販店が酒類卸の免許を持っている業者の場合は、伝票上、仕入取引を区分すれば仕入れることが可能です。

(3)レジ(売上管理)

飲食店用のレジと酒販店用のレジを分ける必要があります。例えば酒販店用のレジは手提げ金庫のような簡易なものでも構いませんので、飲食用のレジとは別に用意することが必要です。

なお、最近はタブレットタイプのレジも普及し始めていますが、このタイプのレジでも対応は可能です。ただ、免許申請時に次のものを提出するように言われることが多いため、あらかじめ用意が必要です。

  • タブレットタイプのレジのマニュアル
  • 飲食店と酒販店の各商品のコード登録画面のコピー
  • レシートの出力イメージ

(4)在庫管理(酒類の保管)の場所

飲食店で提供する酒類と、酒販店として小売する酒類の保管場所を分ける必要があります。
同じ店内で飲食用と酒販店用の酒類を保管、管理すると、
ついどちらかの在庫が足りない時に、つい一方の在庫から拝借したくなるものですが、
これは酒販免許制度上、NGとなりますのでお気をつけください。

3.通常の酒販免許よりもハードルが高い理由

ここまで説明してきたように、飲食店内で酒類を小売することはあくまでも例外的に認められています。しかし例外的であるが故に、酒販免許の審査も通常の酒販免許よりも厳しくなります。

具体的には、

  • 国税局まで審査があがる(ことが多い)。
  • 現地確認が実施される(ことがある)。

の2点が挙げられます。

いずれにしても同じお酒を扱うとはいえ、飲食店での酒類提供と飲食店内で酒類を小売するのとでは大きな違いと制約がありますので、十分にご注意ください。

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