新型コロナ感染拡大に伴う飲食店様向け救済措置「期限付酒類小売業免許の付与」の詳細を解説します

新型コロナの感染拡大および緊急事態宣言によって、飲食店様が苦境に立たされている状況下、当事者の方々の心中をお察しいたします。すでにご存じの飲食店関係者の方もいらっしゃると思いますが、現状を少しでも乗り切っていただくための救済措置として、令和2年4月9日に国税庁より、飲食店様向けの在庫酒類の持ち帰り販売(テイクアウト販売)を可能にするために、特例として期限付き酒類小売業免許を一定要件を満たすことができる飲食店様に限り、付与することが発表されました。

この苦境を乗り越えるための1つの手段としてはとても有効な措置ですが、一方では「具体的にどんな手続きをすればいいのかわかりづらい…。」というお悩みや不安もあると思います。

そこで開業以来、一貫して酒販免許の取得サポートに特化してきた酒販免許専門行政書士として、今回の措置をわかりやすく解説すると共に、申請書類等の準備、作成についてお役に立てる情報を発信してまいります。ご参照の上、1軒でも多くの飲食店様が現状を乗り越えていただく一助になれば幸いです。

そもそも期限付酒類小売業免許って何?

このページは飲食店関係者の方がご覧になっていただいているという前提で、詳細説明は割愛しますが、飲食店内でお酒を提供することは飲食店営業許可の範疇で行っていただいていることはご周知のとおりです。一方、開栓されていないお酒を対面販売することはお酒の小売業にあたり、税務署から酒類販売業免許(以下、酒販免許)を取得する必要があります。現行の酒販免許制度では、飲食店内でお酒を小売(対面販売)することは原則禁止されており、一定の要件をクリアすることで例外的に認められています。
今回の特例措置は「通常は禁止されている飲食店におけるお酒の小売を例外的に臨時に認めて、少しでも売上をたてて資金繰りの改善に役立てていただこう。」という趣旨から実施されることになりました。(通常、期限付酒類小売業免許を取得するにはすでに酒販免許を保有している事業者様がイベント販売等で一定期間、臨時販売するときに認められている免許ですが、今回の特例措置では、元々酒販免許を持っていない飲食店様でも臨時でお酒の小売が可能となるように認めるという極めて画期的な措置です!)

弊所では今回の措置の具体的内容について、酒販免許専門行政書士として国税庁酒税課及び税務署の酒類指導官部門双方へのヒアリングに基づき、国税庁ホームページ上ではわかりづらい具体的な内容について確認を行ったものを掲載いたします。

※4月10日現在、各税務署の代表電話が混雑のため非常につながりにくくなっています。個々に税務署へお問い合わせの場合、あらかじめご承知おきください。

※特例措置とはいえ、申請、即、期限付酒類小売業免許が付与されることを確約する制度ではありません。くれぐれもご注意ください!

国税庁が公表している措置の概要

  • 令和2年6月30日(火)までに提出があった免許申請書に限ります。
    期間限定の受付です。GW中は税務署も休業となるため、申請をお考えの飲食店様はGW前までに申請をすることをお勧めします。
  • 免許付与から6ヶ月間の期限が付されます
    取得時期によりますが、おおよそ年内11月~12月までの期間限定免許です。
    ただし、この間、通常の酒類販売業免許を取得するための申請を妨げるものではありません。今回の期限付酒類小売業免許だけではなく、通年での販売が可能となる酒販免許申請をお考えの方は別途ご相談ください。

主なQ&A

Q1:申請してどれぐらいの日数で免許が付与されるの?
A1:国税庁酒税課からは「迅速に数日内での審査完了および免許交付をするよう、全国の税務署に指示しています。」との回答を得ています。数日内というのが漠然としていることと、各税務署も感染防止策として職員の人員調整も行いつつ、業務に取り組まれています。また、地域によって業務量も異なるため一概に何日とは明言できませんが、申請受理から1週間~10日ほどで付与される見通しと推察します。

Q2:どんなお酒が販売可能なの?
A2:すべての品目のお酒が販売可能です。
ビール、ワイン(果実酒)、日本酒といったすべての品目のお酒、および国産酒と輸入酒問わず販売が可能です。

Q3:販売方法についてどんな注意点があるの?
A3:お酒の販売方法に制約があります。
販売方法の可否について主なものをまとめました。ご参照ください。

販売可能(〇)販売不可(×)
店舗内にあるお酒の在庫を持ち帰り希望のお客様へ対面販売する。・未開封のお酒をボトルごと販売・お客様がボトルキープしていたお酒をボトルごと持ち帰っていただくECサイトを開設して、2つ以上の都道府県に
またがって通信販売すること。
ビールの樽からお客様が持参した容器(グラウラーやペットボトル)に希望する容量を注いで販売すること。あらかじめ店内で別容器にお酒を小分けしたもの
(詰め替え)をお客様へ販売すること。
(=お酒の詰め替え販売に該当し、別途届け出が必要になります。)例えば、日本酒の一升瓶から四合瓶等へ詰め替えたものを対面販売するのは期限付酒類小売業免許ではできません。
日本酒の一升瓶等から、お客様が持参した容器に希望する容量を注いで販売すること。
店舗の近隣エリア(店舗が所在する都道府県内に限る。)にチラシ等を配布して、購入希望者へ宅配すること。

Q4:複数店舗を経営している場合、どうしたらいいの?
A4:店舗ごとに申請が必要です。期限付酒類小売業免許は要件をクリアすれば店舗ごとに付与されます。つまり自社で経営するA店が東京都、B店が神奈川県にある場合、東京と神奈川でそれぞれ申請が必要です。

Q5:自ら申請する場合、どこの税務署に問い合わせすればいいの?
A5:期限付酒類小売業免許の申請先は「免許を取りたい店舗所在地を管轄する所轄税務署の法人課税第一部門酒税担当宛て」となります。
ただ、相談窓口は複数の所轄税務署を取りまとめている酒類指導官部門設置税務署となります。
例えば東京都世田谷区の場合、申請先税務署は世田谷税務署となりますが(住所による)、相談窓口は酒類指導官部門が設置されている品川税務署となります。

全国各地の酒類指導官部門設置税務署の一覧は国税庁の下記URLをご参照ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/sodan/index.htm

※酒類指導官部門設置の税務署の代表番号が窓口です。つながった場合、自動音声が流れますので「2」を選択してオペレーターにつないでいただき、「お酒の部門につないでください。」とお伝えください。

Q6:クリアすべき一定の要件とは?
A6:納税状況や決算書の内容(法人の場合)が後日に審査対象となります。そこで要件をクリアできない場合は、一度付与された期限付酒類小売業免許を取り消されてしまうことになり、それに異議を申し立てられないことになります。つまり、「最初は迅速に免許付与するために簡易な手続きで進めて、付与後にはお酒の販売を始めてもいいけど、後日決算や納税状況を確認しますよ。そこで未納や決算内容がよくない場合はやっぱり取り消しますよ。」ということです。後日の決算書の確認まで初回の申請~付与からどれぐらいのタイムラグが発生するのか、国税庁や税務署もこれから申請を受け付けるため、業務量も予測がつかず明言を避けています。弊所でも4月13日以降、再度情報収集したうえで更新、アップいたします。

Q7:テイクアウト用のお酒の価格設定はどうしたらいいの?
A7:原価割れしないように適正価格を各飲食店様が設定してください。

Q8:費用はかかるの?
A8:今回は税務署に対する手数料や登録免許税は不要です。(弊所で申請代行をお受けする場合の報酬額は30,000円(税別)となります。)

メール・電話による初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください!

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申請に必要な書類

今回は迅速に免許を付与するために2段階での申請と対応が必要です。

初回に必要な書類

  • 酒類販売業免許申請書記入例

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    ※1 この書式や記入例の通りでなくとも、インターネットの地図サービス(GoogleやYahoo!のマップ)で店舗所在地を検索のうえ、該当店舗の立地がわかるように図示したものを印刷したもので代用可能です。その場合、印刷した地図の右上に「次葉1」と手書きしてください。

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    ※2 店舗概要がわかる図面(設計図面や不動産会社が提供する間取り図等)で代用可能です。その際、店内の客席や厨房のおおまかなレイアウトがわかるように手書きいただき、レジ等が設置されている場所や厨房内を「酒類販売場」として明記して、赤枠等で囲んでわかるようにしてください。
  • 次葉2作成例

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申請後に必要な書類(税務署の酒類指導官部門によって異なる可能性あり)

※3 国税庁HP上では酒類販売管理研修を受講済みの管理者を選任するように記載がありますが、現在、研修の各実施団体が研修自体を中止、延期しています。よって、直近での受講は実質不可能となっているため、申請時には未受講で申請可能です。ただし、後日研修再開の場合、事後に受講して研修の受講証を提出するよう求められることがあります。

  • 次葉6記入見本

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※4 酒販免許申請に必要な納税証明書は税務署で取得するものではありません。お間違えの無いようにご注意ください。各都道府県が徴収する地方税に関する納税証明書が後日必要になる可能性が非常に高いです。例えば、東京23区であれば都税事務所、神奈川県横浜市の場合は神奈川県税事務所および各区役所が発行する納税証明書が必要です。なお、酒販免許申請に必要な地方税の納税証明書は特殊な証明書であり、「過去2年以内に滞納処分を受けたことがないこと、および現に未納がないこと。」の証明が必要です。

税務署の酒類指導官部門の判断によって必要書類が異なることがあります。詳細は酒類指導官部門の指示に従ってください。

無料オンライン説明会のご案内

弊所では今回の特例措置について、下記スケジュールで無料オンライン説明会を開催いたします。
下記実施概要をご参照のうえ、ご希望日時と必要事項をお問い合わせフォームからお申し込みください。(お電話でのお申込みは受け付けておりません。ご了承ください。)今回の特例措置の概要説明を行いつつ、個々のご状況やご不明点に応じたご相談に対応いたします。

  • 第1回:4月12日(日)14時~15時
  • 第2回:4月14日(火)14時~15時
  • 第3回:4月16日(木)14時~15時

定員:各回5名まで
ご相談件数に応じて随時追加開催も予定しております。

【参加条件】

以下のすべての事項をご了承、ご対応いただける方のみ対象となります。

  • ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使用できる方
  • 画面上でお顔を映すことができる方(常にカメラをONできる方)
  • ながら参加の禁止(運転しながら、飲食しながら等はご参加いただけません。)
  • 机やテーブルに座って、安定した通信環境下でご参加いただける方
  • 周囲の騒音等が極力入らない静かな環境でご参加いただける方
  • PCまたはスートフォンを使用できる方
  • 他参加者の方のお話内容を秘密厳守できる方

【Zoomでの説明会に際しての推奨環境】

  • パソコンやタブレット端末、マイク付きイヤホン、インターネット環境(有線LAN、またはWifi)をあらかじめご用意ください。
  • 音声機器(マイク付きイヤホン等)をご用意ください

お問い合わせフォームには「ご希望日時」をご記入のうえ、送信してください。

お申込みいただいた方には個別にメールにてZoom参加のためのURLとパスワードをお送りいたします。

本ページの執筆者

いしい行政書士オフィス 代表・行政書士
石井 慎太郎

酒販免許に特化した「お酒の行政書士」として2011年の開業以来、500件を超える酒販免許申請~取得をサポート。20代の頃に勤務していたサッポロビール(株)では営業マンとして酒類卸業者、酒販店、飲食店を担当。

  • 一般社団法人行政書士の学校 酒販免許講座担当講師
  • 2013年「駆け出し行政書士さんのための実務の手引」共著出版(酒販免許の章を執筆)

弊所では期限付酒類小売業免許の申請代行(報酬30,000円(税別))も承っております。お気軽にお問い合わせください。

今回の特例措置について、行政書士登録をしていないにもかかわらず「申請書を作成します!」等と謳っていらっしゃる一部の酒類事業者様を見かけますが、内容によっては行政書士法違反となる可能性もあるためご注意ください。

メール・電話による初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください!

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