会社員の方が副業・兼業で酒類販売を始めたいと思ったら知っておきたい4つのこと

こんにちは。
酒販免許専門、「お酒の行政書士」の石井です。

最近、世の中では副業・兼業を認める会社も
増えつつありますね。

それに伴って弊所にも
「会社勤めを続けながら副業で酒類販売をしたいんですけど。」
というご相談が増えてきています。

弊所でもこれまで複数の副業・兼業による
酒販免許の取得した実績がありますが、
本業で安定的な仕事と生活を確保しながら、
好きなお酒を売るビジネスができれば
とても素晴らしいことですよね。

でも、副業・兼業で酒販免許を取得するには
クリアすべきハードルが主に4つあります。

それは、

A:酒販免許の取得には原則、経営経験が求められる

B:勤務先の就業規則で副業・兼業が禁止されていないこと

C:本業以外の時間で酒類販売業が適正に運営できるかどうか

D:免許取得場所を適正に確保できるかどうか

です。

順に説明いたします。

※本記事では会社員の副業・兼業における酒販免許取得希望を
前提にしているため、その視点からの注意点を主に記載しています。
よって、酒販免許の取得には別途定められている各種要件のクリアが
前提となります。ご了承ください。

画像の説明

A:酒販免許の取得には原則、経営経験が求められる

酒販免許を取得するためには2つの経験(要件)が求められます。

それは、

1)事業経営の経験
2)酒類販売業の経験

です。

1)については会社の登記上の役員(監査役除く)、
または個人事業による事業経営の経験です。

特に副業・兼業での酒販免許の取得をお考えの方は
個人名義で取得したい方が多いですが、
もし、あなたが会社員としてのお仕事経験のみの場合、
経営経験が無いということになり、
残念ながら原則、この要件をクリアすることができません。

ただ、例外として、勤務先で登記上の役員ではないが
執行役員や相応の管理職として勤務しており、
部下の指導やマネジメント、営業、マーケティング、
売上数字など、
事業に必要な事項を管理統括する立場でのご経験をお持ちであれば、
クリアできる可能性もあります。
ただ、ハードルは非常に高いです。

これらの経験は申請時に提出する職歴書で
詳細を記載のうえ審査されます。

2)については、これまでに何らかの形態で酒類販売業に
従事したことがあるかどうかが問われます。

よく勘違いされるのは、
酒類販売業とはいわゆる酒類の主に小売業のことであり、
酒販店、コンビニ、スーパー、ディスカウントストアなどでの
勤務経験を指します。

つまり飲食業において来店客に酒類の提供する業務は
原則対象外となります。

仮に酒類の販売業経験が無いなと思っても、
中には学生時代にアルバイトで経験されている方の場合は、
その経験も多少は考慮されますので、無いよりはプラスになります。

また、酒類販売業ではなく飲食業に従事した経験も
業態は違えど、酒類を扱っていたことがあるということで、
これも多少は考慮されることがあります。
(税務署や担当の酒類指導官によって判断が異なります。)

なお、酒販免許の申請には「酒類販売管理研修」という
半日ほどの研修受講が義務付けられており、
この研修を受講することで、
一定の酒類販売経験と知識があるとみてもらえるため、
研修受講と過去のご職歴(バイト含む)を総合的に加味して
判断されることになります。

なお、副業・兼業での酒販免許取得をご希望の方は
通信販売での酒類販売をお考えの方が多く、
そのために必要な「通信販売酒類小売業免許(以下、通販免許)」は
数ある免許区分の中では要件が緩い区分となります。

とはいえ、酒販免許自体は飲食業に必要な飲食店営業許可や、
古物商(リサイクルショップ)に必要な古物営業許可に比べると
格段に要件のハードルが高く細かいため、
通販免許とはいえ相応の対策と要件クリアの裏付けが求められます。

B:勤務先の就業規則で副業・兼業が禁止されていないこと

会社員の方が副業・兼業を前提に酒販免許申請を行う場合、
勤務先の就業規則で副業・兼業が禁止されていないことを
確認できることが必要です。
かつ、免許申請時にはその就業規則のコピーを
提出することが求められます。

最近では副業・兼業認める会社も増えつつあるとはいえ、
勤務先で禁止されている場合は
残念ながらその時点で酒販免許の申請~取得は不可となります。

なお、その場合ももし会社に直接交渉、相談して
認めてもらえる場合は、
その内容を記した文書を税務署へ提出することで
クリアできる場合がありますので、
勤務先の状況によってご判断ください。

C:本業以外の時間で酒類販売業が適正に運営できるかどうか

酒販免許は免許取得後に適正に酒類販売業を行える
体制であるかどうかも総合的に判断されます。

フルタイム勤務の場合、
一般的には平日の朝から夕方(夜)までの勤務となるため、
副業・兼業で酒類販売業を行う場合は
平日夜か、週末(休日)に対応することになるでしょう。

通販の場合は一般的に時間と場所を選ばないという
メリットはありますが、
計画されている酒類販売業の事業規模や、
顧客対応が適正に行えるのかどうか、
仕入先とのやりとりに支障はないのか、
といった点も踏まえて判断されます。

D:免許取得場所を適正に確保できるかどうか

酒販免許は人格(法人または個人)+場所(販売場といいます。)をセットとして付与されます。

つまり、取得のためには酒類販売業を行うために
継続的かつ安定的な独立した場所を確保する必要があります。
そして、1部屋を事務所として使用できるように
確保する必要があります。

会社員の方の副業・兼業希望の場合、
自宅で取りたいという方が多いのですが、
自宅が持ち家か賃貸かによってクリアすべき点は異なります。

持ち家戸建の場合は自己所有かつ部屋も複数あるため、
最も適しています。

持ち家分譲マンションの場合は、管理規約によって
居住用以外の使用が禁止されていることが大半のため、
管理組合や管理会社の文書による承諾が必要です。
(これが難航することが多いです。)

賃貸マンションの場合は
ワンルームマンションでの取得を考える場合は、
居住スペースと事務スペースが1部屋に混同することになり、
取得することはまず不可能です。

逆に、2部屋以上あって、1部屋を事務所用に確保できるのであれば
間取りとしてはクリアできる可能性が高くなりますが、
どちらの場合も賃貸の場合は大家さん(登記上の所有者)の
承諾書が必須のため、
大家さんのお人柄や考え方によって異なります。

その他、細かい点としては
ポストや玄関に酒販免許取得後の屋号(店名)の
表示ができるかどうかもポイントの1つです。

なお、酒販免許の審査においては
税務署が現地確認を行うこともありますので、
その点もご注意ください。

いかがでしょうか?

ここまで会社員の方が副業・兼業で
酒販免許を取得したい場合の留意点を説明しましたが、
けっこう厳しい内容もあると思います。

「これじゃあ、自分の場合はだめだな…。」

「少し対策をすれば取れる可能性があるかも?」

など、いろんな気持ちになると思いますが、
じゃあ、自分の場合はどうなんだろうと、
具体的な見通しを得たい場合は
ぜひお気軽にお問い合わせください。

お読みいただきありがとうございました。

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酒販免許専門のいしい行政書士オフィス
お酒の行政書士 石井慎太郎
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